【No742】確定申告期限の延長と路線価等の補正に伴う贈与税の申告について

 令和2年分の所得税の確定申告期限は本来、令和3年3月15日ですが、昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を鑑みて、十分な申告期間を確保して確定申告会場の混雑回避の徹底を図る観点から、国税庁は申告期限を1か月延長することとしました。

 また、新型コロナウイルスの影響で地価の下落が著しい地域については、路線価等の補正を行うこととしており、その補正率が確定していない令和2年10月から12月分の土地等の贈与については、別途申告期限が延長されることとなっています。

1.申告期限の延長

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の期間が令和2年分所得税の確定申告期間(令和3年2月16日~3月15日)と重なることを踏まえ、申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告期限及び納付期限について、全国一律で当初の3月15日から1か月延長し、令和3年4月15日(木)とされることが、令和3年2月2日に国税庁より発表されました。

 また、これに伴い、申告所得税及び消費税の振替納税の期日も延長されることとなっています。

2.令和2年分の路線価等の補正と贈与税の申告について

 令和2年分の路線価及び評価倍率については、同年7月1日に国税庁より公開されました。しかし、公開時に、今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、路線価等の補正を行うことが公表されていました。具体的には、贈与があった期間に応じて、大幅な地価の下落があったと認められた地域については、路線価に「地価変動補正率」を乗じて評価額を算出することとされています。

(1)令和2年1月~6月までの評価

 当該期間においては、路線価等が時価を大きく上回る(大幅な地価下落)の状況は見受けられなかったとして、路線価等の補正は行われないこととされています。

(2)令和2年7月~9月までの評価

 当該期間において、以下の地域に所在する土地等の贈与を受けた場合には、路線価に「地価変動補正率」として0.96を乗じた価額に基づき土地等の評価額を算出することとされています。なお、申告期限等は従来通りの取扱いとなります。

(3)令和2年10~12月までの評価

 当該期間の間に贈与を受けた土地等の補正については、令和3年4月に補正率が公表される予定です。

 補正の対象となる地域は、上記(2)の地域に加え、以下の地域については、令和2年10月から12月までの間に路線価が時価を上回る可能性があるため、路線価等の補正が行われる見込みとされています。

 当該期間において、対象となる地域に所在する土地等を贈与により取得した場合には、個別の期限延長により、路線価等の補正に係る公表の日(令和3年4月の予定)から2か月以内の申告・納付が認められることとされています。

 なお、補正前の路線価により贈与税の申告を行った場合には、更正の請求により税額の減額を請求することができます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)