はじめに
現代はデジタル化が進んでおり、私たちの生活はオンライン上の情報やスマホに頼っています。しかし、このデジタル時代における相続問題やデジタル遺産について、多くの人々が正確に理解していないことがあります。このレポートでは、デジタル時代の相続とデジタル遺産の大切さについて、わかりやすく説明します。
1、デジタル時代の相続問題
デジタル時代の相続問題とは、亡くなった人のデジタルな財産や情報の引き継ぎに関する問題です。オンライン及びオフライン双方のデジタルデータを含みます。たとえば、SNSアカウントやオンラインバンキング、またはパソコン、タブレット、写真や動画のデータなどが該当します。相続人がこれらの情報や財産にアクセスできないと、取引や遺産の整理が難しくなります。
２、デジタル遺産の大切さ
デジタル遺産とは、亡くなった人のデジタルな資産や情報のことです。これには写真、動画、音楽、文書、ウェブサイト、ブログ、ソーシャルメディアのアカウントなどが含まれます。デジタル遺産は、ただ思い出を保存するだけでなく、法的・感情的な価値の両方を持っています。
デジタル遺産は、相続人にとっても重要です。財産的な価値があるものとしては、暗号資産や収益が生じているアフィリエイトアカウント（インターネット上の広告を利用して広告収入を得ている人が所持する権利）が具体例として挙げられます。
一方で、財産的価値を有する暗号資産を相続人が認識せず、放置をすれば、税務申告上の問題も発生し得ます。
また、亡くなった人との思い出やつながりが詰まっていることもあります。デジタル遺産を大切に保護し、相続人がアクセスできるようにすることは、家族や友人間のつながりを守る一環と言えます。
3. デジタル遺産の管理方法
デジタル遺産を管理するためには、次の方法があります。
遺言書にデジタル遺産を明記する: 遺言書にデジタルアカウントやデータの保存場所、パスワード、アクセス方法を書き込むことが重要です。そうすれば相続人が簡単にアクセスできます。
パスワードマネージャーを使う: 相続人がアカウントやパスワードを管理するために、パスワードマネージャーを利用すると便利です。これでデジタルアセットへのアクセスが簡単かつ安全になります。
デジタル遺産のバックアップ: 大切なデジタルデータは、定期的にバックアップを取ることが重要です。クラウドストレージや外部ハードドライブを使って、データの損失や破損を防ぎましょう。
4. デジタル時代の相続と個人の責任
デジタル時代の相続問題やデジタル遺産の管理は、個人の責任でもあります。自分自身のデジタル遺産について考え、遺言書やパスワード管理、データのバックアップなどを適切に行うことが大切です。また、家族や親しい人とコミュニケーションを取りながら、デジタル遺産に関する意思を共有しましょう。
デジタル遺産について、遺言書を作成する際は、記載に注意する必要がありますので、たとえば弁護士・司法書士のような専門家に相談することが賢明です。
結論
デジタル時代における相続問題とデジタル遺産の大切さは、私たちの生活に密接に関わっています。デジタルアカウントやデータを適切に管理し、デジタル遺産を大切に保護することは、将来の相続手続きや思い出の保存にとても重要です。私たちは個々にデジタル遺産の大切さを理解し、適切な対策を講じることで、デジタル時代の相続問題にしっかりと対応していくべきです。
事例
相続のご相談をする際に、亡くなられた方が所有していた財産（たとえば不動産や預貯金等）の聞き取りをしていくのですが、最近は暗号資産（仮想通貨）を保有していたかどうかを聞くようにしています。
なかには暗号資産の取引をしていると、亡くなられた方が生前に家族へなにげなく話していたのを記憶しているというような相談者もいますが、実際どこの暗号資産交換業者か、いくらくらい保有していたかは不明というのが大半です。
そういった相談者に対しては、被相続人の郵便物、メールなどから、暗号資産の取引を行っていた形跡がないかを調査していただき、保有していることが確認できれば、取引所に対して相続手続きをしていくことになります。
