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仏具等を購入すれば相続税対策になる?

2024.02.01

こんにちは。

税理士の榎野と申します。

相続財産の中には相続税がかからない財産があります。今回はその非課税財産の一つである仏具等の購入が相続税対策になるかについてご説明したいと思います。

1、仏具等の祭祀財産は相続税の非課税財産になります。

日常礼拝をしている墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具などの祭祀財産(さいしざいさん)には相続税がかかりません(非課税財産となります)。その為、一般的には仏具等の祭祀財産の購入により相続税の対象となる相続財産を減らすことができます。

例えば、1億円の財産を所有している方が生前に1000万円で墓地、墓石、仏壇を購入(日常礼拝用)すると相続税の対象となる相続財産は9000万円となります(※)。

一方、生前に墓地等の祭祀財産ではなく1000万円の金を購入すると、相続税の対象となる相続財産は1億円のままで変わりません(※)。

(※)金相場やその他財産に変更がない前提

 

2、 骨とう的価値のあるものや投資用の仏具等は相続税対策にはなりません。

 

上記の非課税財産は日常礼拝をしている物が対象であり、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。

その為、換金性の高い純金製の仏具や骨とう的価値があるものについては、祭祀財産であったとしても税務調査があった場合には、非課税財産として認められない可能性があります。

税務調査で祭祀財産が非課税財産と認められなかった場合には、本来納めるべき相続税とは別にペナルティ(延滞税、過少申告加算税など)が課せられてしまいます。

参考:国税庁 HPタックスアンサー「No.4108 相続税がかからない財産」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4108.htm

参考:国税庁 HP「墓所、霊びょう、祭具等関係」

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/02.htm

また、後に換金目的として購入した純金製の仏具が、相続時に非課税と認められた場合であっても、その仏具には純金自体の価格に仏具とするための加工コストが反映されているため、購入した価格で売却することは難しく、相続税を減らすことができたとしても結局は損をしてしまうことも考えられます。

 

3、仏具等の祭祀財産は生前に購入しましょう。

 

日常礼拝用として祭祀財産を購入する場合でも注意点があります。

非課税の対象となる祭祀財産は生前に購入しているものに限ります。

例えば墓地・墓石をローンで購入して、ローンが残ったまま相続が発生した場合、そのローンの残債は債務控除(相続財産のマイナス)の対象とならないため、生前に現金で購入する等の注意が必要です。

(通常はお亡くなりになった方(被相続人)のローンや借入金等については債務控除として遺産総額から差し引くことができます。

参考:国税庁 HPタックスアンサー「No.4126 相続財産から控除できる債務」

 

また、相続発生後に相続した預金から仏具等を相続人が購入しても、その仏具等については当該相続の非課税財産の対象にはならないため、生前に購入しておきましょう。

 

4、まとめ

 

日常礼拝用として購入する仏具等の祭祀財産については相続税の対策になります(非課税財産となります)。しかし、骨とう的価値のあるものや投資用の祭祀財産の購入は非課税財産と認められない可能性が高く、また、相続後に支払いが残っているローンの残債等については債務控除の対象とならないため注意しましょう。

 

祭祀財産の購入は相続税対策の一つではありますが、相続税対策には生前贈与や不動産の活用、養子縁組、小規模宅地適用のための対応、生命保険等様々あります。相続対策はご家族の構成、財産内容等によって一人ひとり異なるため、相続に強い専門家に相談の上で検討することをお勧めします。

 

 

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筆者紹介

榎野 聡
OAG税理士法人
税理士

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